雨の日の狩人(後編)(2002年9月28日:2)

  そして獲物を得た私は、帰路につく。やはり雨は降り続いているが、往路と同じく、傘もささずにただひたすら自転車をこぐ。 

犬 エルザタワーを過ぎたころに一匹の犬がいる。野良犬ではないが、20時〜21時30分位の間にこの周辺にいることがある。おそらく夜の車通りが少ない時に飼い主が放し飼いにしているのではないかと推測される。初めこの犬を見たときには、肋骨の輪郭がはっきり分かるくらいに痩せていた。しかし飼い犬であることは分かっていたので、他人の犬にとやかく言う筋合いではないと思えた。しかし・・・ 

 あれは今日と同じような雨の日雨マークだった・・・。雨に打たれながらも、所在なさげにうろついている痩身があまりに不憫に思えた。その日の獲物である『ロースとんかつ(半額)』を一切れ投げてみた。犬は、当初『ロースとんかつ(半額)』を投げられたことに驚き、『ロースとんかつ(半額)』から距離をとったが、しばらくすると『ロースとんかつ(半額)』に近づき、くわえて去っていった。
 それからである。私と犬の関係が始まったのは・・・。

 こうして私はたまに獲物を犬にあげるようになった。しばらくすると、私が自転車に乗って通り過ぎようすると犬が近づいてくるようになった。最近では、ものすごく嬉しそうに、しっぽを振りながら駆け寄ってくる。当初かなり痩せて体も、痩せ気味ぐらいにまで回復した。おそらく本当の飼い主と同じくらい私が獲物をあげているに違いない。初めの獲物は『ロースとんかつ(半額)』であったが、その後いろんなものを与えてみた。『からあげ、煮豚、ソーセージ、餃子、コロッケ、ピザ、食パン、牛乳、生卵、てんぷら、刺身、プリン、シュークリーム、チョコレート』

 やはり肉類の方が食いつきが良い。肉類をあげると、しっぽを振りながら、舌を出して喜んで、次の獲物をせびる。そして自転車に乗って去ろうとしても、猛追してくる。肉類を与えるときは、最後の1つは、遠くに投げて犬が帰ってくるまでに、その場を離れなくてはならない。猛追してくる犬舌を出して獲物をせびる犬

 しかし、刺身やシュークリームを与えると、きょとーんとした顔で見上げる。他に何も与えずに去ると、悲しそうにシュークリームを食べる。犬がシュークリームを食べるというのは、新発見である。やはり人間でも犬でも、空腹は最高のスパイスであるようだ。

 古来より、狩りと言えば猟犬である。人間と犬は助け合い、獲物を捕り、分かち合ってきた。しかしこの犬は、私が戦場で獲ってきた獲物を食うだけのおいしいとこ取りである

しかし最近、餌付けしているのは犬だけではなくなってしまった。

 あれは今日と同じような雨の日雨マークだった・・・。私はいつものように、犬に獲物を分け与えていた。そして犬の猛追を避けるために、最後の獲物を遠く離れたところに投げて去ろうとした。しかし犬が投げた獲物に達する以前に、猫が獲物をかすめ取ったのである。犬は悲しそうな顔をして私の元に戻ってきた。その後ろからは猫が数匹ついてきたのである。
 それからである。私と猫の関係が始まったのは・・・。

 最近は猫にも獲物を分け与えている。猫と猫の間に獲物を落とすと、猫同士のけんかが始まったりする。やはり人間でも猫でも、食い物の恨みは恐ろしいようだ。犬に獲物を与えていると、猫は鳴いて、『ここにもいますよ、獲物を下さい。』ということをアピールする。猫に獲物を与えると、犬は悲しそうな顔をする。

炸裂!  猫パンチ構える猫猫

 しかし、猫も犬と同様、食べるだけのおいしいとこ取りである。私が戦場で得てきた獲物を、さも当たり前のように喰う専門である。犬にも猫にもずっとgiveするばかりでtakeが全くない。 そろそろ、恩返しがあっても良い頃である。よって次回は、

「犬&猫の恩返し(修士論文編)」【○/×(☆)】

に続くと信じたい。
とゆーか、助けろ!!修士論文