[PowerPoint図をきれいにTeXからPDFへ入れ込む方法] はてなブックマークに追加

WindowsとMicrosoft PowerPointを用いて、PowerPointの図を挿入してTeXからPDFを作る方法を紹介します。
ベクトル形式のPowerPoint図を入れ込んだve_pp_eps.pdfのようなPDFを作成することができます。
逆に、TeXの数式出力をPowerPoint等に貼り付ける場合はTeXの数式をPowerPoint等に出力を参照してください。

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まずTeXをインストールします。次にWindowsでのTeX用仮想EPSプリンタの作成方法を参考に、EPSファイルを作るための仮想EPSプリンタを作成しておきます。


PowerPoint図のEPS化

1. MicrosoftのPowerPoint(パワーポイント)を使って図を作成します。この例ではpp_example.pptを使います。

PowerPointの図

2. 図が書き終われば、印刷をクリックします。

PowerPointから印刷を選択します。

3. 印刷をクリックして、WindowsでのTeX用仮想EPSプリンタの作成方法で作成した[For EPS]を選択した後『プロパティ』をクリックします。レイアウトのタブの中にある[詳細設定]をクリックして、[PostScriptオプション]から[EPS(Encapsulated PostScipt)]を選びOKを押します。

仮想EPSプリンタのEPS指定

4. ファイルへの出力にチェックを入れて、印刷します。カラーのEPSを作る場合は[グレースケール]⇒[カラー]に変更して印刷をします。

[ファイルへ出力]にチェックを入れて印刷する。

5. PowerPointではデフォルトで、[prn]という拡張子をつけようとするはずです。これは以下のいずれかの方法で対処してください。

[方法A] ファイルの種類を[全てのファイル]にして、ファイル名の後ろに[.eps]をつける。
[方法B] いったん[prn]で保存してから、(拡張子を表示して)ファイル名を変更する要領で、拡張子を[eps]に変更する。
[方法C] [prn]という拡張子をそのままgsview32やエディターで開き、[prn]のままTeXソースに書く。

PowerPointは[prn]という拡張子を付けようとする。

6. 指定したフォルダ内に(拡張子が違っても)epsファイルができていれば、EPSの作成は終了です。

スライドの向きと印刷対象

PowerPointは横長のスライドが標準的ですが、横長のスライドに書いた図を仮想EPSプリンタで印刷すると、図がGSVIEWの表示をはみ出すことがあります。

GSViewではみ出した図

あらかじめ[ファイル]→[ページ設定]からPowerPointのスライドを縦長にしておくと、スライドとして印刷してもGSVIEWにおさまるEPSを作成できます。

あらかじめページ設定からPowerPointを縦にしておきます。

一方で、横長のスライド上に作成済みの図をそのまま、[ファイル]→[ページ設定]から縦長のスライドにすると位置や縦横比がおかしくなります。横長スライド上の図全体を、縦長のページ設定を指定済みの別のPowerPointファイルに貼り付けることで、図を維持して縦長スライドに挿入できます。

縦長にすると、縦横比や位置がずれる

また、横長スライドのままでも、印刷対象を『スライド』ではなく、『配布資料』とすると、GSVIEWにおさまるEPSを作成できます。

横長スライドを配付資料として印刷する


EPSの枠調整 [Excelグラフや表とほぼ共通]

1 作成されたEPSファイルは、GSview(http://auemath.aichi-edu.ac.jp/~khotta/ghost/)にて開くと、以下のような絵が出ます。

EPS内に大きな余白が存在

2. GSviewの十字カーソルを枠にしたい左下と右上の位置に合わせて、ウィンドウの下部に出る座標を読みます。

GSViewを使って、左下と右上の座標を確認する。

3. GSviewを開いたまま、同じEPSをメモ帳やエディターで開きます。

読み込んでいるEPSをメモ帳等で開く。

4. 6行目あたりにBounding Boxという項目があるので、そこを先ほど覚えた左下座標、右上座標に書き換えます。メモ帳を上書き保存します。

[Bounding Box]の座標を、GSviewで覚えたものに書き換える。

5. [Options]の[Show Boundig Box]にチェックが入っていれば、選択した範囲が破線で囲まれています。メモ帳で上書き保存をした後にGSViewを操作した段階で枠表示が変わります。この破線が抽出したい範囲に合っていれば、EPSの枠調整は終了ですのでメモ帳を閉じます。

GSviewを開いて、取り込みたい範囲と枠が合っているかを確認する。


TeXでの画像指定とdviとPDFの作成 [Excelグラフや表とほぼ共通]

1. 枠を調整したEPSをTeXファイルと同じフォルダに移動させます。

2. 以下のようなEPSを入れ込むTeXソースを書き、graphicxパッケージなどを使用してコンパイルします。

\documentclass[a4j,12pt]{jarticle}
\usepackage{graphicx}
%画像挿入用のパッケージです。TeXをインストールすると付属しているはずです。
\begin{document}
\section{EPSの挿入}
以下のようにEPSを挿入します。

\begin{figure}[htbp]
%画像の表示位置の優先順位 [h:挿入場所, t:ページの上端、b:ページの下端、p:独立ページ]
\centering
%EPSを中央寄せ
\includegraphics[width=8cm]{example.eps}
%widthで幅だけを指定すると、縦横比を維持して画像のサイズを拡大縮小します。
\end{figure}

example.epsの代わりに挿入したいファイル名を入れます。

\end{document}

3. うまくコンパイルされるとve_pp_eps.dviができ、dvioutにおいて以下のような表示になります。

PowerPoint図を取り込んだdvi

dvioutのカラー表示

dvioutでカラー表示されない場合は、[Option] [Setup Parameters]をクリックして[Graphic]のタブから設定できます。GIF:BMP(full color)を選択し、[Save]してからOKを押してください。

  • dvioutでの表示がモノクロでも、できあがるPDFには影響がないはずです。

カラー表示できていない場合は、dvioutのGraphicから設定

4. dvioutでうまく表示できれば、dvipdfmでPDF化してください。上の材料を利用すればve_pp_eps.pdfができるはずです。

dvipdfmを使ったdviからのPDF作成

dviからPDFの作り方が分からない場合は、以下の手順に従ってください。

  1. PDFにしたいdviを選び、マウスで右クリックします。
  2. メニュー内の[プログラムから開く]を選択します。(一度dviの拡張子に対して、dvipdfmを選んでいれば画像のように候補表示されます。)
  3. 初めて選択する場合は、[参照][その他]などを押して、任意のプログラムを選べるようにします。
  4. \local\bin以下にdvipdfm.exeというプログラムがあるはずです。このプログラムを指定してdviを開きます。
  5. 一瞬黒い画面が出て、元のdviと同じフォルダにPDFができているはずです。
  • 同じ手順でdvipdfmの拡張版のdvipdfmxを指定しても、PDFの作成ができます。

dvipdfmによるPDF化

他の方法として、dvioutからもdvipdfmxでPDFに変換することができます。

  1. Viewから[Change Tool Buttons]をクリックしてください。ツールバーの中に黄色いスマイルマークが画面に表示されます。(dvioutを再起動する必要があるかもしれません。)
  2. 黄色いスマイルマークをクリックすると、dvipdfmxでのPDF作成を尋ねてくるので、OKをクリックしてPDF化します。
  • Print RangeをAllにすると全てのページのPDFしますが、ページを抽出してPDFを作成することができます。
  • [View PDF]にチェックを入れておくと、PDFを作成した後にAdobe Reader等で開きます。

dvioutからpdfmxへの変換

黄色いスマイルマークからのPDF化

5. 作成されたPDFの中のPowerPoint図はベクトル形式なので、どれだけ拡大してもなめらかです。またテキスト部はコピー&ペーストも可能です。

PowerPoint図を取り込んでTeXから作成されたPDF